ヴィツェンツァという町名は今回初めて知ったが、ルネッサンス後期の建築家パッラーディオが手がけた建築物で有名な町である。中でもオリンピコ劇場は「屋内」に造られた「古代ローマの野外劇場」を模した「世界初」の「屋内劇場」として世界遺産に登録されているとのこと。入り口近くの庭園には、第二次世界大戦時に爆撃を受け傷ついた壁や石像が展示されており、見る者に何かを感じさせる風情である。
テアトロ・オリンピコ
日本人としてこの劇場に最初に足を踏み入れたのは、劇場が完成した1585年、有馬・大友・大村というキリシタン大名から送られてきたあの天正の少年使節だった。部屋の上部には、モノクロームのフレスコ画で少年使節がテアトロ・オリンピコを訪れた時の様子が描かれている。内部は客席に椅子は無く、木製の階段が楕円形に配置され、舞台背景は凱旋門風の列柱と彫像をはめ込んだ壁、その背後には古代ギリシアの街路を再現した風景が木製で造られていて、真っ青な空と雲は遠近法を用いて客席から立体的に見えるようになっている。