武井武雄『地上の祭』 作曲:糀場富美子
カノラホールは、第7回「緑と湖のまち音楽祭」の主要演目に、岡谷イルフ童画館とコラボした「地上の祭」童画集に曲付けをした。作曲を依頼したのは東京音楽大学教授の糀場富美子先生。
演奏用の楽譜制作の依頼を受けたのだが、これが大変なことであった。全12曲あったが、五線紙に手書きされた2〜3曲ずつを手渡され、都度修正した。大型のスキャナーでスキャニングした後、Photoshopというソフトを駆使しての作業だった。縱B4の五線紙は16段あったが、最上段は歌詞やスラーや音楽的な指示が書いてあり、五線と重なって読みづらいので、五線のみ全て消し、4段の合唱譜と2段のピアノ譜の間はやや拡げ、大譜表の間は、最上段と同じく五線を2段丁寧に消し、最下段も同様にした。勿論歌詞やスラーは消さずに。80ページほどの楽譜を整え、一曲毎に童画と詩を差し込んだが、この童画に至っては童画館のデータ使用と仕上がりのチェック、表紙絵は武井武雄の絵の使用許可等々細かな指示があり、都度カノラホールへお伺いを立て、仕上げた。また、表紙は手垢や汗で汚れないようPP加工(コーティング・ラミネート加工)を施した。何も手を加えず、先生に手渡された五線紙をコピーして製本しても、だれ一人文句を言う人はいないだろうが、私の拘りが、そうはさせなかった。たくさん楽譜を作った中でも特に印象深いものだった。
