『長野県合唱連盟愛唱曲集』 

2008年5月25日、昨日のレクチャーコンサートの余韻がさめやらぬ会場いっぱいに全員合唱が響いた。手に手に青い歌集を持って。 そう、長野県合唱連盟の愛唱曲集「語りたい 歌いたい つなぎたい」のお披露目であった。
 思えば2006年の5月の県連常任理事会で「県連50周年記念に愛唱曲集を作りましょう」と言うことになり、出版に向けて人選が行われ、なぜか私に役が回ってきた。あと南信の宮脇さん、中信の中村さん、北信の池田さん、東信でリーダーの日向さん。話を聞けば「佐原は印刷屋だからいろいろノウハウがわかっている」という理由らしい。ちょっとまった!おれ印刷屋じゃねぇよ!本当の仕事は「工業写真製版」という仕事で、どちらかといやぁ写真屋に近いんだよ!1ミリの300分の1から500分の1のレーザービームで、フィルム上に超精密な図形を描画して、現像、定着、水洗、乾燥、検査・・・。あーッ!もういいや!どうせ説明したって解かりっこねえし。この後は私の諏訪弁丸出しの本音を綴った。
 そんな訳で引き受けたはいいが、なにをどうしたらいいのかさっぱり解んねえ!ま、取り敢えずはメンバーが揃ったところで選曲しよう。リーダーの日向さん、集合かけてよ!。「いいわよ!」・ ・ ・ それにしても川上村って遠いじゃん!「食べたり飲んだりする前に曲決めない?」 「あーあ!酔っぱらっちゃったよ!」「しょうがねえなあ!」「あとは佐原さんに任せるからZZZZzzzz 」「エーッなにそれ!」 
 数ヶ月後、リーダーから 「カワイに断られちゃったけどどうしよう!」「ちゃんと頼んだの?」「ええ」 そんなばかな!「もしもし、カワイの早川さん、佐原です。いろいろ問題はあるかもしれんけど、やってよ!頼むで!」「もしもし、佐原さん、カワイの早川です。相談があるんだけれど」「えー?こっちで楽譜を全部用意するの?何で?あっ、そう安くなるんならそうするわ!」「だけど信濃の国のきれいな楽譜なんてねえけど!」北信理事の古澤さん「私持ってます」嬉しいねえ。「貸して!」「じゃお送りします」。県の理事会で「ウィーンで歌う曲も入れてもらえませんか?」カワイから「目次も作ってくれません?」「えーッ、えれえこっちゃ」「なにー?この表紙のデザイン、気に入らんでこっちで作るわ!」しばらくして表紙のデザインを思考中に堀内理事長に「愛唱曲集ちゅう題字じゃ面白くないでなんか考えてよ」「公募しましょう。」待てど暮らせどなかなかいい題が見つからない。そうだ以前ステージで使ったタイトルって、これにぴったりじゃん。「もしもし堀内さん 《語りたい 歌いたい つなぎたい》 てどう?」「ああ!いいじゃないですか!」「ほじゃ、これにするで」。
 かくして楽譜が刷り上がって目の前に積まれた。早速中を点検 「えーっ!何これ?楽譜のツラが揃ってねえじゃ。こんなの見づらくて駄目どう!」明日はこれを皆に配らなくてはいけないのにどうしたもんか! 理事長さんから 「取り敢えずは配って、良品が来たところで交換しよう」「じゃ明日までに《見本》シールを作っていくで」そして 「もしもしカワイの早川さん、何これ使えねえよ、こんなの!楽譜が切れそうじゃん、それからページが前後してて駄目だ!大至急刷り直してくれない?」「ああ、佐原さんこちらでも気がついて大至急刷り直していますのでしばらくお待ち下さい。」「手の空いてる人、シール貼るのを手伝ってくれない?」・・・・
 「良品と交換するので 《見本》 は返却してください」の通達にもかかわらず、返却しない人がかなりいるようで、カワイの早川さんから 「佐原さんすみませんが、○△□◇合唱団は一冊も戻ってないけど聞いてもらえる?」「何?それって俺の仕事かえ!」しばらくすると未返却の一覧表がメールされてきた。「何でこいつまだ返してねえんだ!」。
 レクチャーコンサートの日、「あと7冊で完売です!」「やったあ!」。当初600冊は売れないという予想に反し、第2刷の500冊を含む1500冊は完売し、第3刷の刷り上がり待ちで予約がはいっているとか!何はともあれ、愛唱曲集は好評である。当たって砕けてはいけない。当たって、当たって、さらにもうひと当たりすることが肝心と見た。
 それにしても完成祝いの宴はまだ開かれていない。「おーい、リーダー!何やってんの?早く打ち上げしようよ!何故か解らないが、楽譜が出来上がるまでに開かれた楽譜編纂部会は、川上村御所平で開いたたった一回だけであり、すべての作業がのしかかってきた事業だった。