『長野県合唱連盟創立50周年記念誌』

《語りたい 歌いたい つなぎたい》

 編纂委員長を仰せつかった時点で、手元にあって参考に出来る資料といえば全日本合唱連盟で発行した20年史、30年史、林昭男さん監修の彼独特の視点で捉えた長野県合唱連盟の30周年史、40周年史しかなく、全県を網羅した形での資料はほとんどなかった。そこで全国各県連で発行された50周年記念誌を取り寄せた。お寄せくださったのは北海道支部、福島県連、福井県連、静岡県連の4連盟からだった。内容のほとんどがコンクール結果が主体であり、各団体の取り上げ方も写真1枚にコメント400文字で、画一的な内容であった。その中で大変参考になったのは福井県連の記念誌で、ところどころにトピックという枠が入り担当の合唱団役員の視点でその時の行事の内容やかかわった感想などが掲載されていた。
 私はこの記念誌の重点を、それぞれの合唱団の最も近くにある4つの地区合唱連盟のことにしたいと考えた。それは全国的に見て、地区合唱連盟があるのは長野県だけであり、それが大きな特徴であるからだ。
 長野県は大きく4つの広域に別れており、長野盆地から新潟県境の北信、上田盆地、佐久盆地の東信、木曾盆地、松本盆地、安曇野の中信、諏訪盆地、伊那盆地の南信と、それぞれの地域でそれぞれの文化が育まれてきた特異な風土である。そのため地区合唱連盟は地域に密着した活動を行ってきており、県合唱連盟は4地区それぞれの長所を生かしつつ、全県をリードしていくという難しい運営をしなくてはならない。それは、この50年間で4名の理事長によって継承され、21世紀に入っている。
 一人の団員、一つの合唱団、一つの地区連盟が、それぞれの思いを県連盟に伝え、それが融合して一つの大きな風となって、県の隅々にまで伝わっていく。その一助になればいいと、各合唱団には1ページの枠を取り、ぞれの合唱団に掲載内容、写真をすべてお任せした。県高校合唱連盟も同様にページを割いた。
写真の頁はカラー頁を10頁、特にサイトウ・キネン・フェスティバルにおける1000人の第九、長野冬期オリンピックにおける世界規模の第九の写真は関係者のご厚意により掲載できた。また巻頭には村井長野県知事を始め全日本の浅井理事長、中部支部の羽根支部長、指揮者の栗山先生、片山先生等々のお言葉をお寄せいただき感謝に堪えない。
 これら記念誌編集に多くの人の手を煩わし、多忙な時間を割いてご寄稿を頂いた。資料提供には県下の加盟全合唱団はもとより、その編集整理の中心になった編纂室事務長の山口元子さん、編纂委員の野村芳さん、中澤龍治郎さん、それぞれの地区連盟の理事長、地区編集委員のみなさんに心からお礼を申し上げたい。
 創立50周年記念事業《愛唱曲集》のタイトル「語りたい 歌いたい つなぎたい」 を、この記念誌のタイトルにも付し、その思いを伝えることができることを祈りつつ 。

蛇足だが、編集委員の士気を高めようと別所温泉で合宿をし、完成を北向観音に祈願したときの写真を掲載しておく。