『岡谷合唱団40年誌』

 1953年に創立され、1993年に40周年をむかえた岡谷合唱団は、翌年暮れに記念誌を発行した。編集委員長を務めたのは創立者のお一人林昭男さんだ。彼はこの40年間ひたすらこの合唱団を全国レベルの合唱団にしようと、あらゆる手だてを試み、一つ一つを丁寧かつ大胆に取り組んでこられた先輩だ。彼が編集委員会のメンバーに選んだのは全員幹事長経験者の7人だった。記念誌として彼が採り上げた大きなテーマは三つ。第一は第一回世界合唱祭、第二はウィーンとの姉妹提携、そして第三は地方都市として全国大会11回出場というものだった。この三つのテーマを中心におき、そこに至るまでのあらゆる資料を徹底的に集める作業からのスタートだった。指揮者が渡辺功先生から関屋晋先生に変わられ、団が大きく変化していく様子も採り上げ、行事はできるだけレポート形式で客観的に捉えるよう指示が出され、年間行事は年ごとのレポートの冒頭に列挙する形でまとめた。大変だったのは3年毎まとめた団員名簿と、どのステージは何の曲を歌ったのかをすべて載せるという作業だった。私は会社で「QuarkXPress」という編集ソフトに取り組み始めたところだったが、まだ様子がわからないままこの記念誌を最初の材料として投入。文字を打ち込み、写真をレイアウトし、校正し、修正し、途中からの原稿追加で混乱しページを組み替え、装丁を考え、自分の原稿を書き・・・。
 編集長の林さんは、記念誌を団の資料的な観点から捉えることを前提に内容を考えたため、他雑誌の記事や写真などを白黒コピーしたまま掲載するよう指示があったが、私としては文字は打ち直し、写真はスキャナーできれいに取り込み、全ページが統一されたものにしたかった。そこが心残りではあったが、ともかくページ数216ページという充実したものに仕上がった。あっという間の一年半だった。